森田療法のやり方
過敏性腸症候群と森田療法
自分で出来る過敏性腸症候群の治し方を探している方は、森田療法がお役に立つ事も多いです。森田療法とは、主に不安や緊張感のために苦手な場面を避けてしまいがちな方のための心理療法です。例えば、対人恐怖症の方。不安神経症の方。もちろん過敏性腸症候群においても有効は方法です。例えば腹鳴恐怖症の方。その他、家でリラックスしている時は、お腹は平気なのに、学校や職場、電車など人前に出ると途端に緊張してしまい、それにより腹痛、下痢、ガス症状などの過敏性腸症候群の症状が出てしまう方に効果的です。
ところで森田療法の理論の真髄は「あるがまま」と「目的本位」の2つあります。では、「あるがまま」と「目的本位」の理論を、これから説明します。
●あるがまま
「あるがまま」とは不安感を嫌がりもせず、追いかけようともせずに、そのままにしておく事です。例えば教室、電車やバス、職場に行くと緊張する方は、その不安感を嫌がりもせずに、かといって、追いかけようともせずに、放っておく事です。なぜ、そのままにして置く事が大切かと言いますと、不安になったからと言って、「ああ不安になったらダメだ! 落ち着け!」と無理に不安感情を意思の力で抑えようとすると、余計に焦ってしまうからです。
かと言って、その不安感を追いかけたりしてもダメです。つまりその不安感にとらわれてはダメなのです。だから、そのままにしておくのが一番なのです。それが「あるがまま」なのです。不安になったら「ああ、不安になった。まあいいや。そのままにしておこう」と気楽に考えれば良いのです。
このように不安感を、そのままにしておけば、とりあえず不安、緊張感は、それ以上は増大しません。
●目的本位
目的本位とは、不安、緊張感を、あるがままにしながら、つまり不安感を持ちながらでも良いから、目の前のやるべき事を行う事です。それが「目的本位」です。不安だから苦手な場面を避ける消極主義ではなくて、不安を持ちながらでも良いから、苦手な場面に入って行く積極主義です。このように「あるがまま」と「目的本位」はセットになっています。
例えば過敏性腸症候群のガス型の学生なら、教室でガス不安を持ちながらでも良いから、授業に集中しようとする事です。それが「目的本位」です。すると最初はガス不安が気になって、なかなか授業に集中出来なかったけど、だんだん授業に集中しだして来て、やがてお腹の事など忘れてしまっている状態になるのです。そういう状態に持っていけば良いのです。
このように目の前の事に集中してしまい、さっきまでの不安を忘れている状態を「今に成りきる」と言います。皆さんも今に成りきれるように、不安感を「あるがまま」にしながら、目の前のやるべき事を行って下さい。
例え授業に没頭して今に成りきる事が難しくても、不安感をあるがままにしながら、目的本位である授業に出る事が出来れば、過敏性腸症候群の為に、授業に出れなくなる事は無くなるのです。